マールブランシュのモンブランに欠かせないのが、フランス・サバトン社のマロンペーストと、バーディネー社のネグリタ・ラムです。おいしさの原点である素材の源を辿って、私たちは現地フランスを訪ねました。そこで出会ったのは、土や水からみつめておいしさを追求する技と伝統。素材の声に耳をかたむけ、手間を惜しまず丹精こめて品質を貫く気概。私たちのお菓子作りにも共通する、おいしさに妥協しないものづくりの心でした。
現地で私たちはもうひとつの共通点に気づきました。それは、栗を丁寧に炊きあげる様子が日本の餡炊きによく似ていることです。ならば、マロンペーストを餡に見立てた新しいお菓子作りができるのでは? 洋と和の新たな出会いをめざして、私たちの挑戦がスタートしました。
四季に寄り添う京の上生菓子は、食感や口どけも季節に合わせて変化します。その繊細な感性に着想を得て、夏に嬉しいのどごしのよさを探求したら、まるで水ようかんのようになめらかな「水モンブラン」ができました。栗の豊かな風味を引き出した、まったく新しい夏のモンブランの誕生です。